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腫瘍随伴症候群の症状

癌性悪液質とは悪性腫瘍によって代謝が変化し、十分な栄養をとっていてもやせてきたりすることです。腫瘍に糖や蛋白質をとられてしまうためにおこる現象です。飼い主さんからみてもつらいことです。
腫瘍は脂質を利用できないため、腫瘍疾患用の処方食には脂質が多く入れられています。脂質の中でも海魚にはEPA・DHAが多く含まれており、これらは糖の代謝にもいい影響を与え、抗炎症作用・免疫作用などもみられるため良いと考えられます。癌を持っている子には、あるいは摘出をしたけれどもなかなか太れない子に対しては、低炭水化物・高脂質・良質のたんぱく質を含む食餌を与えると栄養にしやすいといえます。ただし、脂質があまり多いと下痢を起こします。
食欲があるのであれば腫瘍用の処方食を中心として与えると良いでしょう。

高タンパク血症は腫瘍細胞が特定の免疫グロブリンを多く作ることで起こります。高タンパク血症になると血の粘度が増し細い血管に血が行き渡らなくなったり詰まったりして循環障害を起こします。実際には、出血しやすくなる、目の障害、腎機能不全などとして症状に出ます。この高タンパク血症は多発性骨髄腫という腫瘍で起こることが知られています。多発性骨髄腫は、跛行、食欲不振、多飲多尿などの症状から血液検査、レントゲン検査などを進めていくことで、高カルシウム血症、骨のパンチアウト(骨がレントゲン上所々抜けて見える)像、高タンパク血症がみつかり発見される病気です。最終的には骨の検査で腫瘍細胞が見つかるか、特徴的なたんぱく質が尿や血清から発見されることで診断がつきます。治療法は抗がん剤の投与になります。跛行や高カルシウム血症は破骨細胞という骨を壊す細胞の活性化によっておこります。病的な骨折が起きることもあります。高カルシウム血症は多飲多尿、食欲不振、全身性虚弱、不整脈などの症状を引き起こします。
治療の根幹は原因腫瘍に対してのものですが、これら高タンパク血症、高カルシウム血症、跛行に対して点滴、利尿剤の投与、ステロイドの投与、骨硬化剤などの投与を行うことで食欲不振・沈鬱の改善、歩けなかった子が歩けるようになるなど生活の質(QOL)をあげることができます。

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