肛門に近いところや顔面、四肢にあるとマージンをとって摘出することが難しくなります。手術でいじってしまうことでかえって傷がひどくなってしまうこともあります。1か所にしかなく、腫れが少なく、広範囲に摘出できる部位にできている場合は完全切除によって完治することもありますが、発見時にすでに臓器に病巣があったり、再発があると完治が難しくなります。
抗ガン剤による治療もされていますが、反応は様々なようです。細胞がある受容体をもっていると効きやすい抗ガン剤もありますが非常に高価で体重がある子ですと継続することが難しくなります。また、日本で認可されていない薬もあって抗ガン剤の治療は制限があります。
摘出後の腫瘍を病理検査で悪性度が低い順にグレードⅠ~Ⅲに分けて大体の治療方針が出されていますが、完全に摘出できないのであれば放射腺療法が推奨されています。取り残した細胞や散らばっているかもしれない部位に照射することで細胞を殺します。しかし、正常な細胞にも影響があること、根治的な照射では身体への影響が大きすぎるため日本では緩和療法として腫瘍の拡散を一時的に抑える治療が行われている状況であること、費用がかかることなどをよく理解したうえで治療を受ける必要があります。
腫瘍による全身への悪影響を抑えるためにH2(ヒスタミン2)ブロッカーやプレドニゾロンなども投薬することがあります。
犬だけではなく猫にも肥満細胞腫があります。犬のそれとは多少動向が異なり、若いころにできた腫瘍は自然治癒することもあるようです。内臓にできると厄介で、時には緩和療法しか選択肢がなくなるケースもあります。