悪性腫瘍が疑われる場合、どんな腫瘍が疑われるのかによって対処が変わってくると思います。基本はマージンといって、見えない腫瘍細胞が広がっている可能性のある部位を含めた完全切除がしたいところですが、できた場所が四肢や顔面などの場合は困難です。前回話した腫瘍随伴症候群が発現する危険が高ければ、完全ではないにしても減容積切除といってとにかく腫瘍細胞の数を減らす手術をする場合もあります。また、現在は動物でも放射線治療による緩和療法が受けられるようになりましたので、それらができる施設で治療をおすすめする場合もあります。
人と同じく長寿になった動物たち。腫瘍性疾患はこれから増加していくと考えられます。基本は早期発見ですが、体表腫瘤は別として人のように健康診断で見つかることは稀です。どうしても症状が出てから検査を進めていって初めて発見されることが多いでしょう。そうなると残念ながら手遅れになっていることが多いのが現状です。
そのような状況の中で私たち獣医師が早期介入することが大切になります。まだまだ解明されていないことが多く、人のような癌治療をすすめていくことも難しい段階ですが、できるだけ新しい情報をあつめて治療できる段階でお役に立ちたいと思っています