健康なときの血液検査の値を知っておくこともいいと思いますし、思わぬ異常値が出て早期の治療や追加検査に進むこともできるからです。
しかし、まったく思い当たる症状もなく異常値がでると心配にもなります。
”肝臓の値が上がっています”ということがよくあります。肝臓の異常を評価するのは生化学検査ではALT、AST、ALP、GGTなどの値です。肝臓は消化管から吸収されたものの解毒をするです。食べたものや飲んだ薬の影響をうけますので一時的に上昇することはよくあります。
ALTは肝臓の細胞が腫れたりすると出てくる肝酵素とよばれているものです。ASTは肝臓以外にも存在し、細胞が壊れると出てきます。肝細胞、筋肉細胞に含まれています。ALPは肝臓や胆管系、骨の細胞にふくまれている酵素です。肝臓や胆道に問題があると上昇しますが、骨が新しくできる時にもあがるので幼齢動物では正常でも上がっています。GGTは胆管上皮由来の酵素ですのでこれが上昇していれば胆汁のうっ滞などの胆管系に問題があると考えられます。
異常値が見られた場合、これらの酵素の動きによってどのあたりに問題があるのかを絞り込んでいきます。たとえば胆道系の問題がありそうなら腹部のエコー検査をして胆嚢や胆管を押している腫瘤がないかどうかをみたり、薬物や食べ物の影響が考えられるときはそれらを休んで1か月後に再検査をしたりして持続している問題がないかどうかをみたりします。