炎症が悪化すれば痛みも出てきます。痛みは動物の行動の変化にでてきます。抗炎症剤、いわゆるNSAIDsといわれる薬が多種手に入るようになりました。この薬は炎症を起こす過程に重要な役割をはたしているCOXという酵素(反応を進めるもの)の働きを抑えるものです。この働きは身体にも必要なもので、完全に、長期にわたって抑えてしまうと副作用もでてきます。
人でも鎮痛剤を飲み続けると胃が痛くなったりしますよね。胃の粘膜が正常に入れ替わるようにする働きもこのCOXが関係しているからです。
ですから乱用はいけませんが、初期に使用することで炎症が悪循環に入ってしまうことを防ぐ働きが期待できます。また、長期に連用しても副作用の少ない薬が出回るようになってきたので、よく使用されるようになってきました。実際患者さんに処方をしてみると効果も高く、時期をみて使うことは効果的であると思っています。
猫はこの種類の薬に過敏で、いままで、使うことのほうが副作用発現よりメリットがある場合に限って使用されてきました。しかし、最近猫でも安全性の高い薬がでてきたので今後は使用される頻度が高くなると思われます。
傷ついた部位の再生を促したり潤滑剤を補う働きのものにはヒアルロン酸やた多硫化ペントサンという薬の注射があります。ヒアルロン酸は関節内に直接注射するものなのでなかなか動物では使用しにくいですが、多硫化ペントサンは皮下注射ができます。週1回で計4回の治療になります。20kgくらいの犬で1回5000円位かかるので高価かもしれませんが炎症の抑制と軟骨再生の効果が期待できます。
サプリメントとして人でもよく知られているグルコサミンやコンドロイチン、ヒアルロン酸などの関節構成成分が動物用も多種でています。直接食べたものが関節を構成するものではありませんが別のメカニズムによって関節症の症状を和らげてくれるようです。
リハビリテーションも人同様重要です。痛みが治まったら人の手で屈伸させたり、適度な散歩をすることは筋肉量を落とさないためにも必要です。
最後に高齢になって関節症をおこしている子に対しては薬の効能と機能低下を起こしている臓器への影響をよく考えて治療を行っていかなければなりません。良く主治医と相談してその子に良い方法をこれらの治療を組み合わせて行っていきましょう