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食道の問題についての話、2回目です。
人で最近、逆流性食道炎が知られていますが、ワンちゃんネコちゃんにも同様の食道炎がみられます。胃の内容物を吐くことを嘔吐、食道内のものが逆流して出てくることを吐出といいます。食道炎は何回も嘔吐したり、食道内が異物や薬が長くとどまった場合におこります。また、胃からの逆流をおこしやすくする薬物、とくに非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)によって引き起こされる例もあります。
食道炎の症状は物を飲み込んだ時の疼痛ですが動物では分かりにくいこともあります。また重症になると食餌を飲み込めなかったり水も飲めなくなったりします。また唾液さえも飲み込めなくなり口の周りに涎を垂らすこともあります。
食道炎が疑われる場合の治療は消炎鎮痛剤、胃酸を抑えるH2ブロッカー、プロトンポンプ阻害剤とよばれる薬、粘膜保護剤(スクラルファート)などです。またNSAIDsを投薬する際に予防のために与えることもあります。
また、食道炎から食道狭窄がおこることもあります。食道狭窄に陥ると物が飲み込めず吐出するようになり事態は深刻になります。吐出したものを肺に吸引してしまうと重度の肺炎を起こしてしまいます。場合によっては死に至ります。治療としても内視鏡を用いたバルーン拡張法が考えられますが、できる施設が限られますし術後の再発もあり得ます。
どんな病態もそうですが、一度おきてしまうと事態を収めるのは難しくなります。薬の種類や投薬の仕方など獣医師が食道炎の予防をしなければならないと痛感します。