雑誌に載っていた胃の腫瘍ができたチワワの話です(上の写真とは違います)。
胃の腫瘍は人でも発見しにくい腫瘍です。症状が出てからでは手遅れのことも多く、人でも定期検診等で内視鏡検査をして早期発見することが大切です。
しかし、犬では内視鏡検査は全身麻酔下で行われるため実施が難しくなります。
今回の症例は症状として元気、食欲低下、貧血、タール便があったようです。検査で低血糖も見つかっています。
点滴、輸血等の対症療法で体調を整えてから胃の内視鏡検査をうけています。しかし、内視鏡検査のバイオプシー(細胞の一部をとって病理検査をする)では胃腸炎という結果がでました。
胃腸炎の治療を開始しましたが、嘔吐や下痢は続いていました
発症から3カ月後に試験的な回復手術を受け、胃に大きな腫瘤がみつかり摘出がその時点で不可能だったため前回より大きな組織片をとって検査しました。
平滑筋腫という結果でした。
平滑筋腫は人でよく子宮にみられる良性腫瘍で、筋腫と一般的に呼ばれているものです。なにも影響がない場合には摘出せず様子をみることも多い腫瘍ですが、出血や痛みなどがある場合には手術で取り出すこともあります。
犬では膣によくみられます。この場合も出血等で気がつくことが多いようです。また、外陰部が固く腫れて見つかることもあります。
この症例はそののち大学病院で摘出手術をうけ、食欲不振、出血、低血糖の症状はなくなったようです。摘出後の病理検査では、悪性腫瘍である平滑筋肉腫という結果だったようですが転移や再発は5カ月みられていないようです。
このように、腫瘍は最終的に 摘出後に病理検査をすることでしか確定診断はつけられません。内視鏡検査や一部の組織検査のみではわからないこともおおいです。しかし、治療方針を立てる第一段階は細胞の検査からです。内臓のようにすぐに摘出できない場合には、診断、治療方針がでるまで段階を踏んでいかなければなりません。
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