猫の口内炎はウイルスが関係しているとも言われていますが、はっきりとはわかっていません 。腫れて痛みを訴える子も多く、よだれを垂らして口のまわりや前足が汚れていたり、食事をとるとき食べづらそうにしたり食べれなかったりする症状が見られます。
対症療法として歯石の除去や抗生物質の投与、あるいはステロイド、NSAIDS(非ステロイド性消炎鎮痛剤)などが使われます。また、臼歯や全部の歯を抜歯することによって菌の繁殖場、炎症部位がなくなり症状が改善される場合もあります。しかし大抵の場合歯が炎症によって歯槽骨にしっかりと接着しているので抜歯は容易ではありません。
そんな中、最近プロバイオティクスの考えから口腔内に善玉菌を入れることで症状を改善しようとするサプリメントが出ました。K12とよばれる連鎖球菌です。
他の処置,投薬と併用することで効果が期待できます。使用してみた感じでは薬の投薬間隔の延長や、症状が軽度の場合には単独使用で他の薬の投与や処置をしなくてすんでいるケースも見られます。
剤形は錠剤ですが簡単にすりつぶすことができ製造元はことなりますがバニラ味とチキン風味があるので直接口から投与したり、缶詰に混ぜての投与ができます。猫で数例いますがどれも苦労なく投薬できており、口臭の軽減や食欲の改善などがみられています。
犬の場合は歯肉炎や歯石の付着が原因で口臭がでてきますので,まずはその対処から始めたほうがいいですが、口腔内を清浄に保つ意味からK12を投薬しています。口臭や歯肉炎の軽減が期待されます。犬では歯の痛みから食欲がなくなることはあまりありませんが、口腔内細菌が全身にひろがり心臓、肝臓、腎臓などに影響をおよぼしたり椎間板脊椎炎などの原因となったりすることがありますので口腔内の衛生管理は重要です。犬ではそのままで食べてくれるケースがほとんどです。
重症例では抜歯などの処置や他の薬の投薬が必要になる子もいると思いますし、まだ症例も少ないですが、補助的な方法として有効ではないかと思っています